Thought Leadership SD規格環境の考察

2015年7月15日
SDメモリカードが信頼ある車載アプリケーション用ストレージとして快走しているその理由
コネクテッドカー(インターネット常時接続車)の時代では、SDメモリカードがデータストレージ分野を牽引する

ATPバイスプレジデント兼SDアソシエーションボードメンバー ダニー・リン、ATPビジネスデベロップメント&アプリケーションエンジニアリング サウラブ・パンデ

現在世界中で、各種センサーや演算処理能力機能を搭載したり、インターネットに接続してクラウドを利用したりする、スマートカ―と呼ばれる自動車が主流になりつつあります。こうした技術により可能になったアプリケーションはたくさんありますが、中でもあるアプリケーションが人気となっています。それは運転記録を残せる車載カメラ、ドライブレコーダーです。これは主に事故発生時に保険会社への証拠提出のために使用されています。

このように事故の証拠映像保存目的でドライブレコーダーを稼動させているときに事故がおき、しかし録画を再生してみたらデータが破損していて、使用不可能だったケースを想像してみてください。残念ながら、これは日常的に車両が受ける厳しい温度、衝撃、振動により実際起こり得る事象なのです。車載という厳しい環境要因を乗り越えるためには、結果的に耐久性の高いストレージが必要とされています。

車載用アプリケーションの数とその使用実績は着実に増えているため、こうしたアプリケーション用のストレージソリューションには大きなデータを保存できるような容量が必要になってきています。前述のドライブレコーダーの運転記録の場合、車載インフォテインメント、2D/3Dナビゲーションとマッピング、直感的な認識を可能にする安全運転支援システム、ロジスティクスおよびフリート管理、自律制御自動車など、さまざまな用途に使われているため、ドライブレコーダーは常にストリームデータを受信記録しながら、動作する必要があるのです。



小さなカード、大きな性能

自動車メーカーとヘッドユニットメーカーは、取り外し可能なデジタルストレージデバイスであるSDメモリカードを、信頼のおけるストレージソリューションとして採用しています。多くのメーカーがNAND型フラッシュメモリ採用の、信頼性が高くサイズも小さいSDメモリカードを車載アプリケーション用として採用するようになりました。SDメモリカードは車載用アプリケーションの要求にふさわしい特徴を多数備えているのです。

  • SDメモリカードは幅広い温度の動作環境で機能し、高い柔軟性がある
  • 高い信頼性と電力効率を実現
  • エラー検出・修正機能がある
  • コントローラが、高度なウエアレベリングで高耐久性と長寿命を実現

SDメモリカードは厳しい環境でも動作が安定しており、経年変化による性能の低下を受けにくくなっています。事故などで電力が損失した場合も、損失を最小限に抑えて作動させるなどの対策が採られています。

もちろん完全なソリューションというものは存在しません。SDメモリカードも他の技術同様、課題を抱えています。しかし、適切な対策を知り、実施することで、ユーザーはこうした問題を回避することができます。

課題解決の努力とソリューション

幸いなことにSDメモリカードは動作衝撃値が2,000Gと、衝撃に対し高い耐久性があります。これは一般的なポータブル計算機器のハードドライブの機械部分の衝撃値が100~200Gであることを考慮すると、素晴らしいアドバンテージといえます。この違いを説明すると、衝撃値2,000Gのデバイスは10フィート(約3m)の高さから床に落下させても問題ありませんが、100~200Gの場合では、1フィート(約30cm)からの落下にしか耐えられない程度になります。自動車は移動中にかなりの衝撃を受けるので、車載用アプリケーションにとって、カードの衝撃吸収レベルは重要なファクターといえます。

しかし、温度変化や電源供給、安定性などは、SDメモリカードのストレージとしての信頼性に大きな影響を与え、こうした状況が運転挙動や自動車の要件により変化するのも事実です。こうした差異が車載ストレージやメモリーなどの統合電子部品に影響を与えます。

温度はNAND型フラッシュメモリと、カードのデータ保持に影響を与え、電荷を保持する能力が変動する原因となります。カードの電荷保持能力が低減すると、脆弱性がデータ保持能力に悪影響を与えます。これは頻繁に帯電されていないセルが、既存の電荷を損失させる場合があるためです。セルが電荷を損失すると、電圧レベルと対応する論理ビットが変化し、データ完全性が損なわれる恐れがあります。(以下の表を参照)

SDメモリカードメーカーは苛酷な温度条件での耐久性を試験することにより、こうしたカードの問題を解決しています。先端技術によりベンダーは厳しい外部条件にも耐えられる強固なSDメモリカードを生産できるようになりました。ユーザーが車載用アプリケーション向けのストレージソリューションを求める場合、消費者向け電気機器用に製造されたカードを選択するべきではありません。消費者向けのベンダーは通常、製品設計時に苛酷な条件を考慮していない可能性があるためです。

データ完全性に対するもう一つの脅威が、読み込み/プログラム障害といったカードアーキテクチャの内部障害です。NAND型フラッシュメモリを使用したデバイスはすべて、読み込み/プログラム障害に対して脆弱な要素をもっています。フラッシュメモリのセルはSDメモリカードのアーキテクチャでは1つの構成ブロックです。読み込み/プログラム障害は、読み込みが集中的に行われる動作で(ナビゲーション/ GPS用の地図読み込みなど)、書き込みデータを含んだアーキテクチャ内で同じ列にある隣接したフラッシュメモリーセルに電荷が漏れたときに発生します。ターゲットセルから周辺セルへの電荷の漏れを防止する安全策が実施されていないためです。周辺セルが既に電荷を帯びている場合は、漏れは障害の原因となります。障害を特定し、修正しないと、データが破損するので、問題となります。 (右の図を参照)



幸いなことに、読み込み/プログラム障害を防止するソリューションがあります。最初に、カード内の特定のアルゴリズムがこうした影響を緩和し、周期的にセルをチェックし、以前と比較してセルの状態に変化がないことを確認します。次に、意図しない変化が生じた場合は、自動訂正機能によりエラーを修正し、ターゲットセルが電荷を受けとり、データが適切であるようにします。こうした機能を活用するためには、この技術を設計に組み込んだSDメモリカードを購入する必要があります。 (右の図は集中的な読み込み処理を行うSDカードのさまざまなゾーンを示しています)

SDメモリカードから関連デバイスへのデータ送信がわずかに遅延した場合でも、データ破損の原因となりえます。こうした遅延によりデータフローに障害が生じると、デバイスは正常に機能するために必要である重要な情報を損失することになります。送信中のデータが失われ、その結果システムは最新の情報を使用することなく機能しようと試行します。

遅延に対する保護策としてメーカーは、以前の状態に復旧するためのバックアップコードをカードにプログラムすることができます。これはコンピュータのシステムクラッシュ対応策に似ています。

車載用アプリケーションにSDメモリカードを選択する場合、適切な製品を選ぶ必要があります。カードはさまざまな状況下でのデータ耐性を保証するために、特定の自動車環境用に自動車メーカーや装置メーカーが実施する試験に合格しなければなりません。またAEC-Q100、ISO/TS16949、PPAP、IMDSなどのような自動車業界特定の品質管理規格に対する遵守を証明する必要がある場合もあります。この性能の検証は、長い製品寿命と多様で重要なサービスを提供する能力を保証する上で非常に重要です。

適切なSDカードを使用することで、ユーザーは車載用アプリケーションの多数のメリットを享受しながら、快適なドライブを安心して楽しむことができるのです。

ダニー・リンはATPバイスプレジデント兼SDアソシエーションボードメンバーです。ATPにおいて、グローバルサプライ戦略パートナーシップおよびアライアンスを担当しています。他のSDAボードメンバーと共に、モノのインターネット、産業/組み込み分野、医療および車載用などの新規市場におけるSDメモリカードの継続的な発展を推進しています。お問い合わせはDannyL@us.atpinc.com 宛てに電子メールを送信してください。

 

サウラブ・パンデはATPの既存および新規戦略的顧客に対するビジネスデベロップメント、ソリューションエンジニアリング、テクニカルマーケティングを担当しています。お問い合わせはSaurabhP@us.atpinc.com宛てに電子メールを送信してください。

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